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白髪染めをしないグレイヘアのススメ

2019.04.01

ここ最近になって、にわかに話題となっている「グレイヘア」。2018年の流行語大賞にもノミネートされ、テレビや女性誌でも特集が組まれるほど注目されています。この話題の中心は主に「女性のグレイヘア」ですが、さて、男性の場合はどうでしょうか?

さまざまな会合で見かける50代の茶髪紳士。ほとんどの方は茶髪にするつもりはないようですが、白髪染めをしてから時間が経過すると次第に茶髪に変化していくと口々におっしゃいます。水道水の塩素の影響もあり、色が褪せていく現象です。室内であればさほど目立たない茶髪でも、屋外で太陽光を受けると茶髪度が高まり、特にトップが薄い場合は地肌が透けて見えてしまい、なんとも寂しい印象を醸し出してしまいます。

どうしても白髪を染めたいクライアントには、かなり黒く染めるか、もしくは3週間に1度は染め直すようにおすすめしますが、なかなかそれもままならないようです。早い方では、30代後半から気になり始め、男性も白髪が出てくると染めた方がいいのでは、と思う方が多くいらっしゃいます。

白髪染めをしないという選択

さて、白髪を染めるか染めないかという葛藤をお抱えの方へ・・・
結論から言いますと、男性には「白髪染めをしない」ことをおすすめしています。
白髪は、内面的な落ち着きや貫禄を表すものです。もちろん、無頓着な白髪交じりの伸ばし放題の髪形はだらしなく、疲れた印象をつくりますが、短くカットされたスタイルでは白髪の存在が立体感を醸し出し、プラス効果を演出します。

実際にこんな例があります。いつも出身高校の同窓会でお会いする60代の大先輩。ご多分にもれず白髪を染めていらっしゃいました。しかしながら薄くなったトップを隠す黒染めは、黒と地肌の色のコントラストを目立たせるだけでした。先輩だからこそ放っておけず、2年がかりで口説き、髪を切り、白髪染めもやめていただきました。

「そのスタイルのほうが若々しく、絶対素敵です」と断固として主張する私に、半信半疑であった彼ですが、ヘアをカットした後のある日、米国出張の途中で突然国際電話をくれました。IT大手の代表取締役であった彼は海外出張も多く、外国人の仕事仲間も多い紳士です。電話によると「昨夜のパーティで外国人の同僚たちに囲まれ、すごく若返ったと絶賛された」という嬉しい報告でした。しかも、“成功したエグゼクティブ”という印象である、と太鼓判を押されたそうです。「唐澤さんの言った通りだね」と言って、電話を切られました。

白髪染めをしないという選択は、外見だけではなく、白髪を堂々と受け入れているという潔さが内面の自信の裏付けにもつながり、男らしさを醸し出すのです。私たちが生きていれば、常に環境も変化し、自らも変化します。それは会社も同じです。その変化を受け止め、柔軟に対処し、環境に適応しながらも、新たな成長戦略を模索する。それがビジネスマンに求められるスキルです。自分に起きた変化を強みに変えることのできる術がそのまま40歳以降の印象マネジメントにも反映されることを、心に留めていただければと思います。