株主総会の極意
2019.05.30
さて、いよいよ6月です。株主総会のシーズンとなりました。資料の準備、通知の発送、文書の作成、質問状への対応、シナリオの作成etc…準備は多岐にわたります。もちろん、トップの装いについてもマネジメントが必要なことはいうまでもありません。
企業トップともなれば、株主からも、顧客からも、取引先からも、社員からも見られる対象であることを意識し始めるのは当然のことです。
しかし、外資系企業と比べて日本の企業は、トップの印象管理という点ではかなり遅れているのは残念なことです。とはいえ、少しずつではありますが、株主総会、記者発表会や会見、テレビ出演の時には、広報や秘書の方も、出演するトップの装いを気にかけるようになってきたようです。
海外では、オバマ元大統領やその夫人がファッション誌におしゃれなご夫婦として取り上げられ、財界では、ヒューレット・パッカードのカーリー・フィオリーナ元CEO兼会長の装いも評判でした。日本では、ファッショナブルな財界人といえば、ソニーの出井伸之元CEO兼会長が思い浮かぶ人も多いことでしょう。
一貫してお伝えしておりますが、いくら人は中身だと言っても、その人自身の内面を知らなければ、外見で判断してしまうものです。会社のトップがあまりにもファッションセンスがないというのも時代から遅れているような印象です。かと言ってファッションにこだわり過ぎた派手な出で立ちも威厳という点ではマイナス印象です。
では、どうしたらいいのでしょうか?
専門家によるコンサルティングのススメ
もしできることなら、私のような印象マネジメントの専門家によるコンサルティングを一度体験してみてください。
大企業ともなれば、経営、IT、人事、教育、インテリアなどの各種デザイン、コンプライアンスなどの専門家をつける会社も増えてきました。株主総会や記者発表会などの宣伝広報のために、印象マネジメントの専門家をつける会社も、外資系企業を中心に増加しつつあります。
実際に企業の広報担当からいただくご依頼には次の2つのパターンが多いです。
・まったくファッションに無頓着な社長を株主総会(や記者発表)のために、
髪型や服装をデザインしてほしい
・おしゃれにはうるさい社長だが、自社のブランドイメージに合わない装いの
見直しをしてほしい
どのような依頼であっても決してぶれないことは、主役はご本人であることです。当然会社のブランドイメージを逸脱してはいけませんが、本人のアイデンティティを無視することはできません。その上で、ご本人のパーソナルイメージと会社のブランドイメージの交わる部分を取り出し、それを前面に押し出すことが私の仕事です。
実際にコンサルティングを受けた会社は、結果の違いをビジュアルで体験します。そして、視聴者からの好感度、社内外における評判などからも、企業トップの印象がいかにブランドイメージを左右するかを理解してくださいます。
すぐに実践できるポイント
とはいえ、すぐに専門家に依頼することができない場合もあるでしょう。そこで最後に、株主総会や記者会見のコンサルティング時に徹底してお伝えしているポイントをお伝えします。
●スピーチするときは、きちんと前ボタンをかける
アメリカのオバマ元大統領の演説場面。椅子に腰かけていたオバマ大統領が立ちあがり、演台に向かう途中、おもむろにスーツの前ボタンを掛けるしぐさは、いつ見ても心にくいほどスマートな印象です。座っているときは、前ボタンをはずしていた方がリラックスできます。しかし、聴衆の前でスピーチする場面できちんと前ボタンを掛けることは、聴衆に敬意を表す意味で重要なマナーです。日本のリーダーにはなかなか見られないことが残念でなりません。株主総会や記者会見、選挙などのコンサルティング時にはこの前ボタンを掛ける習慣を徹底して指導させていただきます。
●早く歩かず、大きく歩く
毎年開催されるG7や、世界のリーダーが集まるシーンで、どうも日本人の歩き方が貧相に見えてしまい、堂々として見えない・・・。これは、姿勢と歩幅の問題です。まずは、自分を客観視することから。スマホでもなんでもいいので、自分が歩いている姿を動画に撮って見てみてください。歩き方には内面が表れます。早足はせっかちな内面、足を横に投げ出しながら歩く人は自分の縄張りを守りたいという内面が表れています。まずは、頭に上昇している気を丹田に収めます。深呼吸によって気は移動するので、息をゆっくり吐きながら頭にあるエネルギーがへその下に収まることをイメージします。目を閉じるとより効果的です。そして、正しい姿勢をとり、みぞおちから足があるとイメージしてください。イメージ上では、とても足が長い人に変身します。そして、その長い足で一歩を踏み出します。それだけで歩幅が大きくなり、ゆとりある歩き方ができるようになります。
最後に・・・
株主総会で忘れてはいけないことがあります。それは、企業トップだけでなく、一緒に壇上にいる方々も見られているということです。
後ろに座っている役員、社外取締役など発言しない方々の服装や態度も、株主や顧客は見ています。だらしない服装、乱れた頭髪、腕組みをする、頬杖をつく、あくびをする・・・というような外見や態度は思っている以上に目につきます。ぜひ、全ての印象管理まで、抜かりなく準備をしてください。