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誰でも似合うクールビズの着こなし

2019.06.26

太陽光とビル

2005年にクールビズ政策が始まって、早14年です。
当初は、慣れ親しんだスーツを脱ぎ、カジュアルな要素をオフィスに取り入れるなんて、誰もが戸惑ったと思います。実際、最初の頃は“ゴルフウェアの延長上スタイル”で通勤する中年紳士たちの姿を見て先が思いやられたものですが、ぎこちなかったビジネスマンのクールビズスタイルも少しずつ板についてきた気がします。今は、クールビズはすっかり世間に浸透し、スーツスタイルよりも洗練された印象のビジネスマンも街で見かけるようになりました。このクールビズ政策は、男性のオシャレセンスを鍛えるよい機会でもあるように思います。

高度経済成長期からバブル期にかけては、多くのビジネスマンは働き蜂のように自宅と会社の往復を繰り返すことが普通でした。このような時代のサラリーマンのカジュアルスタイルは、「近所で過ごすための服装」でした。そのため、ジャージやスエットという家の中でくつろぐスタイルしか持っていなかった男性も多く、急にクールビスやスマートカジュアルといわれても、戸惑うばかりだったでしょう。ましてや、洋服マナー教育を受けていない日本人にとって、オフィシャルにも着られるおしゃれなカジュアルスタイルなんて、想像もできなかったに違いありません。

オリンピックのマーク

さて、いよいよ2020年の東京オリンピックが来年にせまっていますが、2013年に行われた、東京オリンピックの招致プレゼンテーションを覚えていますか?素晴らしい内容のスピーチが記憶に残っている方も多いと思いますが、東京チームの服装については覚えているでしょうか?
東京チームが着用していた紺ジャケットとグレイパンツ、この組み合わせは、代表的なスマートカジュアルです。結婚式や式典のようなフォーマルな場でなければ、どこに着ていっても恥ずかしくない、クラシックな着こなしにのっとった洗練されたスタイルでした。

日本の多くのビジネスマンは、紺ジャケットとグレイパンツは学生服やホテルマンをイメージしてしまい、食わず嫌い的に敬遠する方が多くいらっしゃいます。ですが、2005年のクールビズ政策当初から現在に到るまで、数多くのビジネスマンにスマートカジュアルの着こなしを指南してきた私がすすめる第一のコーディネートは、どなたに対しても、紺ジャケットとグレイパンツです。

実際に着ていただくと、照れたように「馬子にも衣装ですね」と謙遜される方、何もおっしゃらずに見とれている方、「本当に食わず嫌いでした」と納得される方と様々ですが、100%の方が、鏡の中の自分の姿を信じられないとばかりにうっとり眺めます。

紺ジャケットの袖

ここで、紺ジャケットとグレイパンツを素敵に見せるポイントをお伝えします。それは、とにもかくにも体にほどよくフィットしていることです。その上で、体型や顔のタイプに合わせた形と色合い、季節に合わせた生地と色味を選択します。最近では伸びる素材や涼しい素材を使った紺ジャケットも多くのブランドで販売されています。素材がカジュアルでも、サイズをしっかり合わせることで、きちんとした印象を損なうことはないでしょう。シャツやネクタイはそれぞれの個性に合わせて選びます。

靴は、フォーマル感を高めるには黒がおすすめです。肩の力が抜けたカジュアル感を表現するには、ダークブラウンがいいでしょう。絶対に避けていただきたいのは、キャメルや赤みの強いブラウン。せっかく品格のある装いが一気に野暮ったい印象になってしまいます。

さて、紺ジャケットとグレイパンツはまさにスマートカジュアルのスタート地点です。紺ジャケットを中心にグレイパンツからベージュのチノパン、ホワイトパンツ、さらにデニムへとカジュアルダウンしていってみましょう。紺ジャケットが押さえとしての役割を果たしてくれることで、スマートカジュアルから逸脱しません。
パンツに合わせ、靴もカジュアルダウンしていきます。
・ベージュのチノパンにはスエードのモカシン
・ホワイトパンツには スリッポンや革素材のデッキシューズ
・デニムには 最近さまざまなデザインタイプが売り場を占領しているスニーカー
などを合わせてみてください。

クールビズが当たり前の今、ガチガチのスーツスタイルではない、ジャケット&パンツで肩の力を抜いて仕事をすることが、新たな発想や価値の創出につながるきっかけになると信じてやみません。