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選挙における印象マネジメントの基本

2019.07.20

選挙カー

いよいよ参院選の投票日が近づき、選挙カーの声がひっきりなしに聞こえてきます。これまで、多くの政治家の方々の「見た目」をサポートしてまいりましたが、まず選挙における印象マネジメントの基本は「公約(内面)と見た目に整合性があるかないか」がポイントになります。

政治やビジネスの世界では、外見と内面のギャップはないに越したことはありません。第一印象が悪いために、相手とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、商談が進まなくなる、というのがその一番の理由ですが、そこまで行かなくても「最初の印象はこうだったのに、どうも中身はそうではないらしい。期待はずれか?」と相手が混乱してしまうからです。
新商品を例に挙げても、デザイナーはいかにその商品の中身のよさをデザインに表現するのかをまず考えます。つまり、外見と内面を一致させることから始めるのです。その上で、その表現がインパクトを持って受け入れられるかを考えます、それは人であっても同じです。相手に余計な混乱を与えず、ストレートに自分を評価してもらうためにも、外見と内面のギャップはできるだけない方がよいのです。

外見と内面のギャップについて多く見られるのが「中身はよいのに、外見が野暮ったく精彩にかける」というケース。この場合は、中身に合わせて外見を変えていけばいいのですが、反対の場合もあります。それは「中身は結構繊細なのに、外見が大胆に見える」といったケースです。こうした場合は、初対面では高得点を得られるものの、次第にその繊細さが演説や仕事の進め方のなかで露呈してくると、たとえそれが長所だとしても、相手は期待を裏切られたような気分になってしまいます。いずれにしても、外見と内面にギャップがあるのはマイナス。選ばれる人や好かれる人は、ありのままの自分をそのままさらけ出している人です。なぜなら、一言でいって「わかりやすい」からです。そうした意味でも、外見と内面のギャップはできるだけなくすことが大事です。特に選挙においては、公約と外見にギャップがあっては、有権者に違和感を与えてしまい、マイナスです。外見と内面を一致させ、「わかりやすく」有権者に示すことが戦略的な印象管理です。

投票箱

さて、外見と内面を一致させることの重要性をお伝えしましたが、ここでいう「外見」はファッションだけを指すのではなく、表現力を含んだ「見た目」のことです。演説もプレゼンテーションの一種ですが、プレゼンテーション力とは、相手に自分の言いたいことを理解してもらい、納得させ、共感を得る力です。もちろん、内容あってこそですが、それを相手に伝えるには、表現力が問われます。表現力とは何かといえば、言葉そのものと、その言葉をどういう言い方で、どんな声や表情で、どんな身振り手振りで話すか、という非言語の要素です。そして、それはほとんどが「見た目」と言い換えられるのです。演説やプレゼンにおいて、発する言葉の信頼度を高めてくれるのが、非言語である「見た目」です。極端な例ですが、全身ヒョウ柄のスーツをきて、「少子高齢化の進む日本において、まず取り組むべき改革は・・・」と熱弁をふるっても、受け手の多くは内容よりもヒョウ柄に気をとられてしまいます。どんなに素晴らしい演説でも、説得力の低下は避けられないでしょう。こんなことになってしまったら、実にもったいないと思いませんか?

見た目の印象の重要性はアメリカでは政治やビジネスの世界で当たり前のように理解されていますが、日本はまだまだ遅れているようです。オバマ元大統領やその夫人は、よくファッション誌におしゃれなご夫婦としても取り上げられていました。いくら人は中身だと言っても、その人自身の内面を知らなければ、外見で判断してしまうものです。ですから、選挙の場合は特に、「見た目」の印象管理は必須です。なぜなら、有権者の多くは、候補者一人一人の内面を知らないからです。そうなると、「見た目」が判断に与える影響が非常に大きいといえます。ぜひ、政治を志す方は「見た目」の重要性を理解し、綿密な印象管理を行ってください。