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ビジネススーツはこの色を選ぶのが正解

2019.09.15

いろいろなスーツが掛けてある写真

日本でもクールビズやウォームビズが浸透し、ビジネスマンも明るい色を身につけるようになってきました。しかし、ダークスーツが主流であることは変わりません。ニューヨークのウォールストリートでもロンドンのシティでも、金融業界のビジネスマンはほとんどがダークスーツであり、その他業種でもダークスーツはもっとも堅実な装いです。

では、なぜビジネススーツにおいて、濃紺、ダークグレイが主流になったのでしょうか。ちなみに紺色は、「ロイヤルネイビー」というイギリスの海軍の制服から始まったといわれています。そこから名前をとって、紺色はネイビーと呼ばれます。
紺色は「誠実」という印象が強く、英国紳士の間で重宝された色とも言えますが、ビジネスに置いては、限りなく黒に近い濃紺が主流です。
黒はフォーマルとして確立していますが、黒に白を若干加えたのがダークグレイです。つまり、濃紺もダークグレイも無彩色に限りなく近い色です。

虹の写真

無彩色と有彩色では、心理的に及ぼす影響が大きく違います。有彩色といえば、わかりやすく「虹」を思い浮かべて見てください。赤、赤みの橙、黄橙、黄色、黄緑、緑、青緑、黄青、青、青紫、紫の順に色相が変化していきます。これらの色を円形に並べたときに、対角線上に位置する赤と緑、紫と黄色などの2色の組み合わせは、補色と呼ばれる反対色です。この2つを並べることで波長が戦い、インパクトのある色合わせになります。そのため、人目を引き付けたい国旗や企業ロゴマーク、看板などに多く使われる組み合わせでもあります。

さて、誰もが虹を見ると幸せな気分になるのはなぜでしょうか。
色相環の補色同士を並べると、見る人にインパクトを与えると書きましたが、これらの色を全て混ぜると何色になると思いますか?実は、無彩色であるグレイになります。それぞれの色がもつ刺激を呑みこんでしまった色がグレイというわけです。虹というのは反対色同士の集まりです。
つまり、視覚では虹の中のそれぞれの色の調和を美しく捉えていますが、実は体には“グレイ”として伝達されているのではないでしょうか。すべての刺激を呑みこんだ色、グレイは、それぞれの波長の違いが打ち消され、調和して、見る人の心を落ち着かせるのかもしれません。

グレイをはじめとする無彩色には、人の心を落ち着かせる効果があるのです。色々な好みをもつ他人同士が集まって協力するビジネスシーンに置いて、面積の広いビジネススーツは個性のでる有彩色ではなく、無彩色を身につけ、面積の狭いVゾーンで有彩色を使い個性を出すというのは、理に適ったことであると思えます。よって、ビジネススーツで選ぶべき色は、濃紺とダークグレイという定番を信じて間違いないでしょう。

グレイのスーツの写真

最後に、組み合わせやすいグレイにはこんな工夫を。
グレイは共存共栄タイプの色です。グレイのスーツに茶系のネクタイを渋く決めた着こなしは、肩に力の入っていない上品で余裕のある落ち着いた印象を与えます。また、若い世代や女性なら、明るいグレイにピンクやオレンジなどのパステルシャツを合わせると控えめななかにもソフトな明るさで好印象を得ることができます。
また、青や紫など色味がかかったグレイを選んだり、相手を引き立てるグレイの特性を生かして、シーンに合わせて配色を変えたりして使いこなしの幅を広げていきましょう。
グレイは明るいグレイからダークグレイまで、季節や場面に合わせてもっとおしゃれに、日本人の色彩センスを生かして、粋に着こなしたい色です。