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ヒゲで得する人、損する人

2019.08.16

お盆明けに、突然ヒゲを蓄えて出社する男性社員が毎年現れます。あなたの周りにも1人くらいいるのではないでしょうか?
男性の見た目の印象を大きく左右するヒゲ。私が担当する商社の新任部長研修受講者の2割はヒゲを蓄えていますが、そのほとんどがアジア中東地区担当の商社マンです。
アラブ諸国の男性の多くはヒゲを生やしており、大人の男としてヒゲは当然と捉えられています。ヒゲがないことで取引をキャンセルされた日本人のサラリーマンの逸話もあります。
それは極端な例としても、彼らと比較して童顔傾向の日本人は、若く見られがちで、対等に商談を進めることは難しいようです。そのため、ヒゲを生やして威厳や貫禄を醸し出す努力をしているというわけです。
 
さて、日本の歴史上の人物もヒゲを蓄えている人は少なくありません。織田信長、伊藤博文、夏目漱石、ヒゲの殿下と呼ばれた三笠宮寛仁親王が有名です。
その時代背景において権威の象徴ともいわれたヒゲですが、江戸時代中期からヒゲをすっきりと剃り落とすという習慣が生まれ、特に戦後の日本においては「社会人がヒゲを生やすのはみっともない」とされて、その文化は今に至っています。
社会人としてヒゲがタブーとされていることも、女性からの好感度の面でも、ポイントは「清潔感」にあるようです。威厳の象徴である一方、不潔の象徴でもあるヒゲは、諸刃の剣といえるでしょう。

現代においてファッションの一部と認識され始めているヒゲですが、最初から避けてしまうこともひとつ、あえてアイテムとして活用することもひとつです。
しかし、あえて活用することを選択するならば、ヒゲを敵に回すのではなく、味方につけることが鉄則です。自分にとって、印象アップのためのヒゲの活用方法を知っておく必要があります。

そもそも、ヒゲが似合う顔立ちかどうかが登竜門です。
では、どんな顔立ちならヒゲが似合うのでしょうか?また、逆にヒゲがNGなのはどんな顔立ちなのでしょうか?

まず、残念ながらヒゲを蓄えてはならない顔は「童顔タイプ」です。顔が丸く幼い顔立ちだからこそ、ヒゲを生やして威厳を出したいという気持ちはわかります。しかし、ヒゲを生やした子どもを想像してみてください。そのチグハグさは威厳というよりも、ユーモラスな印象を与えてしまいます。「童顔タイプ」は“威厳”という印象で戦うのではなく、感性の豊かさやフットワークの軽さという本来の印象の強さで戦うべきです。

童顔以外の人は、自分の置かれた環境や立場によってヒゲを生やすかどうかを決めましょう。ヒゲをタブーとするスポーツがあるように、業界や職種によってもヒゲをタブーとする会社があるはずです。さらに、会社はよくても取引先や顧客、また上司や同僚、部下の好みや価値観についてもじゅうぶん考慮する必要があります。置かれた環境に対して敏感であることは、ビジネスマンとして重要なスキルです。

ヒゲを生やすときのポイント

最後に、ヒゲを生やすときのポイントをお伝えします。
清潔感を保ってヒゲを生やすには、口の周囲とサイドから見たときのヒゲの長さやラインがポイントになります。口元というのは、物を食べる機能やキスをする役割があり、ヘタをすると生理的な嫌悪感を抱きやすい場所です。
そのため、唇にヒゲが少しでも触れるようでは不潔な印象をつくってしまいます。唇から少なくとも2ミリは離し、横から見たときにヒゲが皮膚から3ミリ以上浮いていると不潔で野暮な印象につながります。電動ヒゲ剃りの目を3ミリに合わせて、毎朝きちんと手入れをしてください。