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男の価値を表す革小物の選び方

2019.12.15

靴とベルトの写真

年の瀬も間近になり、クリスマス、忘年会、仕事納めと慌ただしくお過ごしのことと思います。ちょうどこの時期は、クリスマスプレゼントを探している時期ではないでしょうか?パートナーや子ども、親しい方へのプレゼントの他にも、自分へのご褒美を購入される方も最近は増えています。さて、今回はプレゼントの定番でもある「革小物」がテーマです。

体全体を覆う革の衣装は、ライダースーツなどのように特殊な場で身につけるものとなりましたが、靴、ベルト、バッグ、財布などのような革小物は、ラグジュアリー感を表現するファッションとして根強く、特に男性にとっては、数少ないファッションアクセサリーアイテムとしてその地位を確立しています。

そもそも人間は、太古の昔、食料として射とめた獲物の革や毛皮を衣服として身につけ始めました。植物などで作った衣装よりも丈夫で長持ちし、防寒具としてもすぐれている革や毛皮は、それだけの獲物を射とめることのできた男たちの勇敢さの証でもありました。そのため、革や毛皮は、ある種、男の豊かさの象徴といえます。

女性は革小物以外にも、ネックレスや指輪、イヤリングなどアクセサリーアイテムが豊富で、装いの幅も広いため、ファッションセンスを表現する方法は多種多様です。しかし、男性の装いはスーツ、ジャケット&パンツなどとファッションそのものの幅が狭いため、革小物はファッションセンスを表現する希少なアイテムといえます。

靴、カバン、時計、手帳の写真

今でこそファッションブランドとして不動の地位を確立しているエルメスは、19世紀のパリで馬具工房として始まり、ナポレオン3世などを顧客として発展していきました。スカーフやバッグなど、女性に人気の高いエルメスですが、革小物については男性にとってもステイタスシンボルです。
また、私自身も愛用しているヴァレクストラというブランドは、「イタリアのエルメス」と呼ばれるほど革の質感がすばらしく、世界でも人気のあるブランドです。

気をつけたいのは、あくまでも革そのものが主役であり、ブランドは単なる“購入者に対して品質を保証する納得材料”だということです。
ブランド価値が高まると、ロゴマークをデザインに取り込む会社も増え、巷にはそんな小物があふれかえっています。すると偽物も登場し、本物と偽物の見分けがつかなくなります。ブランドロゴよりも、革なら革の良さを重視したいところです。

例えば、ブランドロゴがベルトのバックルにデカデカとデザインされているようなベルトをして堂々と歩いている男性を見かけると、非常に残念な気持ちになります。特に、ビジネススーツや、ビジネスの場のジャケット&パンツに使うベルトは、ロゴマークなどこれみよがしなデザインの入ったバックルのものはタブーです。極力シンプルなものを選びましょう。靴も同様です。ブランドのバックルなどついていない、紐付き靴が望ましいです。

バッグも、誰でも知っている高級ブランド名が革全体にデザインされたバッグを20代前半の女性が当たり前のように持ち歩く姿を街で見かけますが、これも残念な状況です。そのバッグの価値が落ちると共に“身の程をわきまえない人”というレッテルを貼られてしまいます。
また、若い女性が持ち歩く印象の強いブランドのバッグを持ち歩く男性の姿には、女々しさを感じます。ブランド名をこれでもかと見せた小物は、自らの品格を一気に下げてしまう可能性がありますのでご注意ください。男性にとっての革小物は、その人そのものを表すといっても過言ではありません。

30代前半まではそれほど高級な革でなくても、色が剥げ落ちていないきちんと手入れをしているシンプルなものであればじゅうぶんです。役職がつく、30代後半からは、少し良いものを身につけるように意識してください。
長く使いこなすことをおすすめしますが、やはり革小物も消耗品です。たとえば、昇格昇進の度に買い替えていくとよいでしょう。当然、役職につけば、それなりに給料も上がるでしょうから、それに合わせて革小物を昇格させてあげましょう。
そして、身につける、靴、ベルト、バッグなどの革の色は黒なら黒、茶色なら茶色と統一することも、紳士のたしなみであることもお忘れなく。

ここからは、革小物の中でも誰もが毎日持ち歩く「財布」について取り上げます。
ヘアスタイルやファッションがバッチリ決まっている紳士でも、懐から取り出した財布をみた瞬間、がっかりすることがあります。
お札や領収書がはみ出しているパンパンの二つ折りの財布や、革の色が褪せて角がほつれている財布などを見ると、思わずご自宅も荒れているのでは・・・と推測してしまいます。また、学生がもつようなカジュアルな財布にもお目見えしますが、これには正直なところがっかりです。
このような財布を使っていると、いろいろな意味で損をしている可能性があります。

普段何気なく使っている財布ですが、人生を共に歩くパートナーとも言える存在であることは、お金の価値がわかる人であれば理解できるでしょう。
そのパートナーが今のあなたの価値と逸脱している印象であれば、誰もが違和感を抱くのは当然です。
あなたの今の収入、そして未来の収入を期待させてくれる財布は、あなた自身の印象管理として重要なアイテムなのです。

お財布は、3年が限度と考えてください。毎日使う財布は消耗品です。3年も使えば、色も落ちるでしょうし、角がほつれるのは当然です。大切なお金を入れておく財布ですから、それが粗末なものであれば、やはりお金にも失礼というものです。
風水では金運を呼ぶために、財布は2年に1度買い替える必要があるといわれます。もちろん使用する人の使い方によりますから、これがベストであるという共通期限はないと思います。

しかし、その財布を毎日使うあなた自身が豊かな気持ちになること、そして、それをちらっと見るだろう周囲の人も、あなたに対して豊かな印象を抱くことが重要です。
さらに、あなたの現在の仕事や立場を表す仕様やデザインを選ぶことも大切です。カードの枚数や持ち歩く現金の量に見合ったものが最重要選択ポイントです。役職がついた人は、いざという場合に備え、ある程度の現金を持ち歩くことを考えれば、長財布がよいでしょう。厚みのある二つ折り財布は、スマートさを損ないます。
どちらにしても、財布はあなたの大切な財産を管理するもの。お金を大切に思うビジネスマンで荒れば、是非、財布にも気を遣っていただきたいと思います。

最後に、宝石と同じく、ブランドの威力も無視できない革小物ではありますが、あくまで革そのものが主役であることをぜひ覚えておいてください。