コラムColumn

コロナ後のオフィス

2021.08.31

会議をしている写真


新型コロナウィルスの感染拡大がなかなか止まりません。この状況下ですっかりテレワークが定着し、出勤者が減ったオフィスを縮小する企業も少なくないようです。

長引く緊急事態宣言、外出自粛のなか、ある程度在宅勤務にも慣れてきました。働く側も、雇う側も、毎日出勤しなくても仕事はできる、と実感しつつある方が多いと思います。

しかし、在宅勤務でも支障がない業務がある一方、創造的な業務・・・特にアイデアやイノベーションが求められる場面では、オンライン会議の限界を感じたこともあるのではないでしょうか。

事務連絡や進捗確認のような簡単な打ち合わせはオンラインでできても、お互いに自由な意見を活発に交わすには、やはり対面が最適です。

 

オフィススペースの写真


さて、コロナによってコミュニケーションの手段が大きく変化したいま、オフィスはどうなっていくのでしょうか?

テレワークが進み、オフィスの縮小化がどんどん進んでいくかと思えば、アメリカのIT企業などは、社員にある程度の出勤を求めているようです。
 
その筆頭はGoogleとAmazonです。GoogleのCEOは「社員間でコラボレーションし、コミュニティを構築するために直接集まることはGoogle文化の中核であり、今後も重要である」と述べ、全米各地でオフィスの増床を計画しているようです。

Amazonも、2020年8月、全米6都市で14億ドル超を投じて技術開発拠点とコーポレートオフィスを約8・4万平方メートル拡張すると発表しました。

オフィスは社員同士のコミュニケーションを促し、イノベーションを起こす場である、イノベーション創出にはリアルな場での濃密な対面コミュニケーションが欠かせない、といった考え方があるからこその経営判断でしょう。

一方、日本の企業はどうかというと、ベネッセコーポレーションが2021年6月に東京本部オフィスを全面改装し、固定席を廃止してオフィス面積を4割削減する一方で、共有の打ち合わせスペースを拡充したようです。
また、ヤフー株式会社も目的に応じて働くフロアに分け、1人で集中する場所と自由に議論できる場所とをつくっています。


おわりに



私の書籍やコラムでもお伝えしているとおり、人と人とのコミュニケーションは、話す内容だけではありません。
言葉そのものと、その言葉をどんな言い方で、どんな声や表情で、どんな身振り手振りで言うかという非言語の要素をお互いに感じ取っているのです。

オンライン会議の利点は多いですが、対面よりも非言語の要素が見えにくく、感情が読み取りにくい面がどうしてもあります。

いまこそオフィスのあり方を見直し、対面でのコミュニケーションの価値を改めて捉え、イノベーションを起こす場としてのオフィスを検討するときかもしれません。