コラムColumn

熟年に多い「若返りたい症候群」

2020.11.30

レースの服を着た女性の後姿


もう少しで12月。2020年も、もう終わりが近づいています。
さて、こうした年の瀬が近づいてくると、自分の年齢についてもつい思いを馳せてしまいます。また1つ年をとったな・・・と。

特に熟年になると「若く見られたい」という欲求が出てくるようです。
最近増えているのが、「若返りたい症候群」です。ご自身の実年齢とファッションがひどく遊離しているケースです。

女性の場合、ある年齢を過ぎると少女趣味と外見のアンバランスがあらわれ始めますので、意識的な軌道修正が必要です。
顔型や目鼻・口などの造作が丸みを帯び、目の下が短い、いわゆる童顔の方は、顔がなかなか歳をとらないので、40歳を過ぎても実年齢よりも若く見られることが多いです。若いうちはそれでもよいのですが、ある程度のところで「年齢相応」ということを意識するようにしないと、いつしか年齢にそぐわない、不思議な少女趣味の装いになっていることがありますので気をつけましょう。
若い頃から似合っていたソフトでかわいい要素を徐々に減らし、大人の女性としての落ち着きを表現する要素を取り入れるようにするとよいと思います。

逆に、クール系の顔の人がピンク色や花柄、フリル、レースといった華美で少女趣味な服装をしてしまうことがあります。これは少女時代に憧れていたけれど、「自分には似合わない」と、長い間封印し続けていたものが解けてしまった結果です。これは「いつまでも乙女心を失いたくない」という、若さへの執着のあらわれといえるでしょう。
この場合には、表現方法に工夫が必要です。フリルやレースを顔の周辺ではなく、裾や袖といった顔から遠い位置に、少しだけ使うのです。しかも、シャープなものと組み合わせるのがポイント。装いは、バランスです。


打ち合わせの写真


また、管理職の男性が20代の部下と張り合って、若々しさを強調しようとして軽薄な格好をしたりすると、こちらは「頼りにならない上司」と人望を失うだけです。
あるいは、若い頃から老け顔で実年齢以上に貫禄がある外見だった人。仕事上何の問題もなかったわけですが、こういう外見の人は転職など新しいことにチャレンジしようとした場合、イメージの再構築が必要です。
新しい環境に「貫禄のある→おうへいな印象→老けた自分」は邪魔になるからです。たとえ現在、仕事上に不都合が起きていなくても、常に環境は変化するものです。いざというときや、リタイア後の幸せな第二の人生に備えて、小さな外見チェンジで慣れておくことを強くおすすめします。
「その時」は案外突然やってくるもの。頭髪が気になっている人や白いコットン靴下で勤務している人などは要注意です。

年齢に不似合いな、若者のような格好をするのは、老いを隠したい、忘れたいという意識のあらわれ。でも、人は誰でも年をとるのですし、その年齢にふさわしいファッションがあり、外見があります。

日本では、若いことがプラスで、年をとることをマイナスに捉える風潮があります。若さだけをありがたがるのは、日本の社会が成熟していない証拠かもしれません。

熟年には若者にはない風格や迫力があります。そして、しっとりと落ち着いた大人の魅力、人生経験を通して培われた豊かな心があります。
年齢をネガティブに捉えず、年齢が醸し出す味をプラスに表現する見た目をつくっていきましょう。